こんにちは。NPO法人HIKIDASHI代表の大石です。
この度、ご縁あって、
台湾の性教育関連の施設を2ヶ所見学してきました。
(※今回の旅費はあくまで個人負担であることを申し添えます。)
まずこの記事では、台北市にある「小紅厝月經博物館(THE RED HOUSE)」をご紹介します。
こちらの施設は、20代の若者たちが立ち上げたNPO「小紅帽 With Red」が2022年の夏に設立されたそうです。
このNPOは、「生理の貧困」「生理への偏見」「生理の不平等」を解消することをミッションに活動されており、私達の活動理念とも共通するところが多いと感じ、この施設を見学し、スタッフさんから話を聞くことで、今後の日本での月経教育の突破口が何か見つけられるのではないかと考え、この度の訪台を決めました。
この施設があるのは、
台北市の中心的な観光地というよりは、地元の人達に親しまれているような路地の一画。
どうしてこの立地を選んだかと言うと、
まだまだ生理へのタブー感が強い地元の高齢世代にもこの活動を知ってほしかったとのこと。
実際に博物館を作る過程を見ていた近所の人達も、最初はその内容に驚いていたけれど、
そこから交流を図って理解を求めたということでした。
建物は昔ながらの商店をリフォームしていて、
2階建ての小さなスペースに様々な展示がされていました。
入場はなんと無料!
毎週金曜日~日曜日が開館日のようです。
博物館と聞くと堅苦しいイメージですが、
子ども達でも楽しく学べるように、
目線の低い位置に展示されているものもたくさんありました。
また、生理への偏見を無くし、体についてきちんと知ってほしいという思いから、
このような展示もありました。
これは、このNPOのスタッフさん達が、
それぞれが思う女性の外陰部のイラストを描いたそうです。
人それぞれ顔が違うように、外陰部の色や形も本当に様々。
でもそれをどこかで習うことってほとんど無いですよね。
それをアートとして知ることができる。日本にはなかなか無い視点です。
更に2階には様々な月経用品や書籍の展示コーナーも。
実はここに、代表大石の絵本「げっけいのはなし いのちのはなし」の繁体字版と日本語版が展示されているのでした。
(嬉しさのあまりこんな顔になっています。)
また、台湾も高齢者世代はまだまだ生理が不浄視され、
お互いにそれを語る機会もなかった。
それをインタビューすることにより、当時の思いを知ってもらう機会とするとても貴重な展示もありました。
(横にはインタビュー動画も流れていました。)
そして、来館者が思いを記入するコーナー。
私達もメッセージを残してきました。
このメッセージの中には、地元の繁体字だけではなく、
英語、そして日本語のメッセージも多くありました。
来場者の2割ほどは観光客ということで、
世界で唯一の月経博物館に海外からも足を運ぶ人が多いことがわかりました。
また、来場者の4割は男性とのこと。
女性の体に起こること、そしてそれを取り巻く社会的な問題を、性別に関わらずきちんと知って一緒に考えていく。
とても大切なことだと思います。
そして、日本語のメッセージでは、
「こういう博物館が日本にもあればいい」という声をたくさん見かけました。
今回の視察で得られたことを、今後の日本における月経教育、そして包括的性教育の普及に活かしていきたいと思います。
なお、今回の月経博物館の見学は、
ご縁あって、「オードリー・タンの思考」等、数々のご著書で知られる台湾在住のノンフィクションライター近藤弥生子さんに大変お世話になりました。
弥生子さんは月経博物館のパンフレットの日本語訳をボランティアでされたということで、
今回、展示物の解説、そしてスタッフさんとの通訳をしてくださいました。
近藤弥生子さんのnoteはこちら。→note
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弥生子さんの新刊はこちら。
ドカンと真ん中に陣取っているのが代表の大石、
その横に座っておられるのが近藤弥生子さん。
後列3人のうち、いちばん左が法人スタッフの冨永です。
弥生子さんがおられなければ、ただ何となく展示物を見学しただけで終わってしまったかもしれませんが、詳しく解説していただき、スタッフさんともお話しできたことでとても学びが深まりました。
弥生子さん、この度はお世話になり本当にありがとうございました!
こちらは「小紅帽」の皆さんと。
代表のViviさんはスコットランドに留学中でお会いできませんでしたが、
今後もぜひ交流を図りながら、
日本で私達にできることを考えていきたいなと思います。
素敵な機会をありがとうございました。
今回伺った施設はこちら。
もう一つの施設「性平不小室」については次の記事でご紹介します。