こんにちは。NPO法人HIKIDASHI代表の大石です。
中学生へ講演をさせていただく時には、学年ごとにお話をすることが多いのですが、
今回は兵庫県姫路市にある中学校の全学年の生徒さんを対象にお話をさせていただきました。
中学生という時期は日に日に成長していく時期でもあるので、例えば1学年でも1学期と3学期では同じお話をしても捉え方や理解度が違うと思うのですが、
そんな中で、1学期の早い時期に全学年を対象に、ということで、どんな話をしたらいいかかなり悩みました。
先生方からのご要望では、SNS等でのトラブルも増えているので、自分が軽い気持ちでしたことが誰かを傷つけることもあるかもしれないし、そんなつもりがなくても犯罪になることもある。
そのあたりの注意喚起もしてほしいということをお聞きしていました。
2コマいただけたので、まずは「そもそもなぜ中学生に性教育が必要なのか?」
それぞれの性ホルモンの影響により心も体も発達する時期であったり、性について関心を持ち始めるのもある意味自然なこと。
一方で、脳の発達もまだまだ途中なので、感情的、衝動的に行動しやすくなる一方で、理性的に感情をコントロールしたり、その行為によってどうなるのか結果を予測して判断して行動するという面ではまだまだ未熟な時期でもある。
環境的にも今子ども達の手の中にはたくさんの情報が溢れていて、偏った状況を鵜呑みにしてしまう恐れもあるし、誰かと繋がることも簡単だけれどそのために危険な目にあったり、誰かを傷つけてしまうこともある。
その全てを防ぐことは難しいかもしれないけれど、ただ「こういうことは犯罪になるよ」という脅しではなく、きちんとした知識を持った上で、人と人とがお互いに心地よく対等に暮らしていけるために何が大切なのか。
いつもの「境界線(バウンダリー)」「NOという権利」「同意」ということを、いつもよりも事例やクイズをたくさん織り交ぜながら、少しでも自分ごととして落とし込めるようにお話をしました。
みんな周りの人とワイワイと考えたり、発表したり、クイズに参加したり、大きく頷いてくれたり。真剣に聞いてくれている様子でした。
そして、今回は生徒さん以外にも、保護者の皆さんや校区愛護育成会の方、そしてもちろん先生方など、子ども達と関わるたくさんの大人の皆さんも一緒に聞いてくださっていたので、
子ども達が何か被害にあったり困った時に、SOSを出せる大人が一人でも多くその子の周りにいること。
そのためにも、子ども達が相談できる環境、関係性を作っていくことの大切さもお伝えしました。
子ども達にも、「周りの大人にSOSを出せるのも、とても大切な生きる力だよ!」ということを伝えたのですが、一方で、
「周りに、『この人になら安心して話せる』っていう大人はいる?」と聞くと、首を横に振る子もいたり・・・。
私達大人が、もっともっと、子ども達との向き合い方を考えていかなければいけないのだろうなということを考えさせられました。
包括的性教育は単に知識を与えるだけでなく、いかにそれを日常生活に落とし込んで、自分も大切にしながら相手のことも尊重した行動が取れるようになるのか、そのために大切なことを伝えたいと思いつつも、
どうしても抽象的な説明も多くなってしまうので、1回きりの講演で伝えられることには限界があって、周りの大人が継続的に関わってくださることもとても大切だと思っています。
今回、たくさんの大人の皆さんも一緒に聞いてくださったことで、その土台がこれから少しでもできていくといいなと思っています。
貴重な機会をありがとうございました。
ちなみに、姫路は明石から電車で25分くらいなのでそれほど遠くないのですが、実は講演に呼ばれたのは今回が初めてでした(と記憶していますが違っていたらすみません)。
お聞きしたところによると、市として外部講師を呼ぶための予算等は無いようです(これも違っていたらすみません)。
もちろん、それぞれの学校で実施されていたらいいのですが、いろいろな学校の状況を見させていただく限り、まだまだそういうところは少ないのではないかと思います。
「#全ての子ども達に包括的性教育を」
その環境が整うように、地域全体で考えていけるよう、ぜひ一緒に取り組んでいきませんか。
今年度も講演のご依頼が少しずつ増えています。
気になる方はぜひ一度お気軽にお問い合わせください。お待ちしています。