こんにちは!NPO法人HIKIDASHI代表の大石です。
少し前になりますが、愛知県市町村保健師協議会様からのご依頼で、県内の市町村保健師さん(名古屋市を除く)向けに「包括的性教育の視点で考えるプレコンセプションケア」というテーマでお話をさせていただきました。
皆さん、「プレコンセプションケア」という言葉を聞かれたことはあるでしょうか。
こども家庭庁が今年5月に「プレコンセプションケア推進5か年計画」を公表しました。
この中で、
「プレコンセプションケアとは、『性別を問わず、適切な時期に、性や健康に関する正しい
知識を持ち、妊娠・出産を含めたライフデザイン(将来設計)や将来の健康を考えて健康
管理を行う』概念であり、この概念の理解が進むよう、国として情報発信を行う。」
とされており、それを受けて都道府県や市町村も、
「地域の実情に応じた『地方版推進計画』を策定し※2、計画的に取組を進めることが期待される。」
と示されています。
また、5か年計画を進めていく上で、「人権的アプローチを段階的に学んでいくカリキュラムを充実させること」、「包括的性教育の仕組みを参考とすること」、「発達段階に応じた指導内容にすること」等の記載もあるため、
行政の保健師として、まず包括的性教育について学びながらプレコンセプションケアへの理解を深めたいということで今回ご依頼をいただきました。
実は私自身がもともと行政の保健師として働いていた経歴があり、
全てのライフステージの人々に、より生活に近い場所で関われることが行政保健師の強みであるからこそ、
包括的性教育やSRHR(リプロダクティブヘルス/ライツ=性と生殖に関する健康・権利)の視点に基づいたプレコンセプションケアを進めていく上で、自治体の保健師さんは欠かせない存在であることに確信があったため、
今回その思いを込めてお話しさせていただきました。
内容としては、まず午前中は講義形式で
• プレコンセプションとは
• プレコンセプションケアとリプロダクティブヘルスライツ
• 包括的性教育とは?
• 他の地域での実践例紹介
• おすすめ書籍等の紹介
という内容についてお話しし、
午後はグループワークとして、
・今すでに自身の自治体で取り組んでいること
・今日の講義を聞いて取り組んでみようと思ったこと
・行政保健師として包括的性教育の視点に基づいたプレコンセプションケアを進めていく上での強み
等を話し合っていただきました。
感想が届きましたので一部ご紹介します。
🌸他市町の現状を知れてとってもよかった。先生の話も聞き取りやすく、内容もとても参考になった。
🌸プレコンセプションケアは大きな考えで、実際に推進していこうと思うとよく分からない部分が多かったが、包括的性教育とSRHRを学び直すことで、イメージが湧いた。
🌸(性教育について)苦手な保健師が多い職場なので、みんなで勉強していきます。取り入れていくことを一つずつやっていきたいです。
🌸グループワークで他市町村との話し合いができたので、参考にできる情報や取り組みが知れて良かった。 講義もどうやっていけばいいか分かりやすく伝えてくださったので良かった。
🌸他市町村がどのようにプレコンを進めていこうとしているのか分かって良かったです。 プレコンを啓発する上で、包括的性教育は必要不可欠な部分となるためどのように組み込んで伝えていくか検討していきたいです。
🌸具体的なお話を要所でしてくださり、日頃の事業に活かせる発見が沢山ありました。他市の方とお話をして、当市はプレコンや性教育について取り組みが少ないからこそ、新しい考え方を取り入れてどんな形にも実践していける可能性があると、ポジティブに取られていきたいと思いました。
🌸講演を聞いて今まで曖昧だった自分の知識や考えがはっきりとしたものになったり、グループワークを通して、これからどういう事業に活かしていけるのかを考えることができました。
🌸プレコンの意義を再確認できた。既存の事業を上手く活用しながら、他係や学校など理解を得ながら点が線に繋がっていけるような活動に広げていけるといいなと思う。
🌸性教育に関しては世間での理解や浸透なども含め、まだこれからなところがあると思うし、我々も知識をつけたり推進していかなければいけないと思った。非常に勉強になった、興味深い研修だった。
貴重なご意見をありがとうございました。
私ももともと保健師だったからと言って性教育が得意だったり熱心に取り組んでいたわけではないので、まだまだ性教育に苦手意識を持っておられる保健師さんが多いことも理解できます。
また、「プレコンセプションケア」と言ってもまだまだぼんやりとしている中で、ぜひ「保健師だからできる性教育」をこれからも皆さんと一緒に模索していく、そのお手伝いができれば嬉しいなと思っています。
貴重な機会を本当にありがとうございました。
なお、講義の中で、先進的な事例として、包括的性教育とSRHRを土台にしたプレコンセプションケアを推進している京都府の「きょうとプレコン」を紹介させていただきました。
全国にこのような取り組みが増えていくことを願っています。


