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避難所にナプキンは何枚必要か?

こんにちは。NPO法人HIKIDASHI代表の大石です。

突然ですが、タイトルについて考えてみてください。

「もし、とある避難所に月経のある女性が50人いるとして、
そこで30日避難生活を送るとしたら、物品調達担当者としてあなたは何枚のナプキンを調達しますか?

そして

「そのナプキン、どのような方法で配布しますか?」

 

おそらく、私達のサイトにアクセスしてくださる皆さんは、ある程度性教育の関心の高い方が多いと思いますので、

「だいたいこのくらいかな・・・」「こうやって配ればいいんじゃないかな・・・」と、
お考えがすぐに頭に浮かぶ人がほとんどだと思います。

 

でも、今年の元日に起きた能登半島地震の避難所ではこんなことがありました。

 

この令和の時代でも、月経についての理解が充分に広がっているとはまだまだ言えない状況です。

 

対して、私達が広めたいと思っている包括的性教育。
そのもとになる国際セクシュアリティ教育ガイダンスには、

「月経は一般的なことで、女子の身体的発達の自然な一部であり、秘密やスティグマとして扱われるべきでない」

という学習目標が掲げられ、

「月経についてきちんと理解した上で、女子が恥ずかしさを感じたり不快な思いをすることなく、
快適に感じるため積極的で支援的な方策をはっきりと示せるように」

というようなことが記載されています。

 

 

さて、そのためにはどうすればいいか?

そこで、一つの取り組みとして、冒頭のワークを、兵庫県明石市内の小学校と中学校で実施してみました。

すると、月経についてきちんと押さえずに(正確には1年前には伝えたはずなのですが)すぐにワークにとりかかった学年では、ナプキンの枚数について、特に男子から、

「相場がよくわからん!」という声が上がったり、
ちょっと的外れな計算方法が出てきたりしました。

 

対して、直前に月経についての基本的なところを押さえてからワークを行った学年では、
ちゃんとポイントを押さえた計算方法を答えてくれました。

 

きちんとした知識を得て、更にそれを日常生活に落とし込む。
そんなことができる機会がとても大切だなと感じた一つの例でした。

 

児童・生徒さんたちの反応について、詳しくはこちらの音声配信で話しているので良ければぜひお聴きください。

 

ちなみに、「音声を聴いている暇がない!」という皆さんへ。
ナプキンの必要枚数の計算について基本的なところをお伝えすると・・・

・月経はだいたい1ヶ月に1回来ますが、1ヶ月に1日ではなく、1回5~7日ほど続きます。
・月経血は尿や便のように括約筋でぐっと締めて我慢してトイレで出すということができず、自然に体外に排出されてくるので、ナプキン等を使用する必要があります。
・ナプキンを使用する場合、漏れたり、雑菌が繁殖したりしないように、2~3時間に1回は新しいものに交換する必要があります。
・でも夜はそんな頻繁に変えていられないので、通常の昼用ナプキン以外に、吸収量の多い夜用ナプキンがあります。
・だいたい1か月に1回ですが、正常周期は25~38日なので、25日周期で1月1日から月経が始まった人は、次は1月26日から始まります。

 

なので、私が用意していた回答例としては、
昼間16時間起きているとして、昼用ナプキンが1日8枚、夜用は1日2枚あればいいかな。
それが7日分として、

 昼用:8枚×7日×50人=2,800枚
 夜用:2枚×7日×50人=  700枚

でも、上記の通り、1ヶ月の間に2回目の月経が来る人もいるので、これ+αの準備が必要、ということですね。

 

もちろん、7日間の間には、多い日もあれば少ない日もあるので、
実は昼用ナプキンも「特に多い日の昼用」「多い日の昼用」「普通の日用」「軽い日用」があったりしますし、
実際は後半の日は2時間に1回なんて変えない人も多いと思います。

実際に女子生徒さんは、
「3日目までは1日○枚、それ以降は1日○枚と計算して・・・」というリアルな計算をしてくれている人もいました。

 

まあでも、上の記事に合ったような「知識ゼロ」のところから、
まずは基本を押さえてもらうための回答例として提示しました。

そこから更に具体的なところを、今後もっと気軽に話し合える環境が、このワークをきっかけにできていったらいいですよね。

 

配布方法についても同様に、いろいろな意見を出してもらいながら、
どうすれば月経のある人もない人も、お互いに快適に過ごせるのか、
話し合える環境があることが大事だよね、ということを伝えました。

 

まだまだ私のやり方が完璧だとは決して思えません。
でも、今の月経教育では不十分だということは、上の記事からもわかります。

このような学びの機会が、少しずつ広がっていくように、
まだまだ私達も模索しながら活動を続けていきたいと思います。

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